よいこの観測日記200511
雨が上がって快晴の予報。
超低空のSWAN彗星(C/2020 F8)にチャレンジしたい、と、
熊野市の海岸べりへ出撃することに。
26時過ぎに、花の窟様に到着。快晴。
防波堤に立って視界を確認する。
久しぶりにさそりのしっぽの下に広い空間を見た気がする。
もちろん東は海。
ステナビで彗星の方位を確認すると、
真東よりも少し北より・・・・って、あの岬に引っ掛かるんじゃない?!
うーん、まだ時間あるし、もう少し南へ移動してみるか。
と、R42を走ってみると、ずっと防風林が海岸と国道の間にあって、
視界が開けそうにない。あきらめて、花の窟まで戻る。
あれ?北西に薄雲が出てきてる?
意外と時間を食ってしまって、余裕がなくなってしまったので、
急いで機材を防波堤の上に展開する。
・・・と、さっきの北西の薄雲が北東側へ流れてきてない?!
そして、ペガススの四辺形から方位を絞り込んでいくと、
やっぱり岬にひっかかって、水平線から出てくることはないっぽい。
そして、薄雲が流れてきて、結局、水平線ギリギリはダメな感じに。
ペガススの四辺形はもちろん見えるのだけれど、
そこから下方向のうお座の星がほとんど見えない。
9×35でも、かなり見つけにくい。
勘でカメラを向けて30秒露出をかけてみるけれど、
カメラの背面モニターでパッと彗星が見つかったりはしない。
双眼鏡で見ていても、時々見えていた星を見失う。
雲が少しうごめいているようだ。
彗星の近くに目印になる恒星が無いこともツライ。
彗星の少し左上の、うお座ζ、η、ψ1までは双眼鏡ですっと来るけれど、
そこから先が星が見えない。
大まかに見当を付けて双眼鏡でにらむけれども、何も見えない。
カメラのファインダーでは、そのあたりの星も見えない。
勘で露出してみると、背景のカブリがだんだんひどくなってくる。
夜が明けてくる。
もう、彗星は、完全に岬の上の空に出ているはずだが見つからない。
気ばかりが焦る。望遠鏡の7×50のファインダーでも、
うお座ψ1、ψ2、ψ3、χの塊まではしっかり追えるが、
その先が続かない。低空がかすんでいるか雲がある感じ。
この辺のはず、と思って主鏡で覗いてみるが見つからない。
岬のシルエットが浮かび上がってきて、
肉眼でも夜明けが始まっていることを感じる。
ダメかー。
ほぼあきらめて、最後にもう一度、と
ファインダーでうお座ψ星群から検討をつけて主鏡を覗くと、
ど真ん中に彗星が!
見えるじゃん!
ファインダーで位置を確認しなおすと、少ししっかりした雲のすぐ上にいる。
さっきまではあの雲の中だったか。
雲を目印にして、カメラを向けて、3秒露出で連写する。
10cm屈折でしっかり見る。
しっぽは分からない。丸い姿。
大きさは大きい感じはしない。
そして、中央集光が鋭くない。
集光はしているんだけど、中心に「芯」を感じない。
薄雲越しでは見つからなくても仕方ないか。
夜が明けてくる。望遠鏡の視野も白んでくる。
ギブアップして撤収。
見た。とりあえず一目見た。見える。けど厳しい。
帰宅後カメラをチェックしたら、写ってました。
撮影データ
カメラ:Fuji FinePix S5Pro レンズ:約135mmF4.5(開放)
観測地:三重県熊野市
撮影時刻:2020年5月11日28:
感度設定:ISO3200相当 露出:3秒×23コマ(69秒)
ステライメージ7で恒星基準でコンポジット、
フォトショップで調整。スケールバーは1°